物のなかった時代の、物に対する哲学がどこかで美徳とされ生き続けている。その象徴的言葉が「もったいない」である。まずは食料。食べるものに困った経験を持つ世代はそれこそ大変だ。賞味期限が切れようが、捨てようとでもするものなら「もったいない」「ばちがあたる」とくる。特に保存食品的な缶詰類や乾燥食品、これは何年経っても食べられると信じている。その賞味期限も、一度開封したら意味をなさないということなどおかまいなし。そして冷蔵庫信仰とでもいおうか、冷蔵庫にさえ入れておけばよほどでないと腐らないと思い込んでいる。台所用品も、あまりに手軽に買えるコストでちょっとあったら便利といった物が溢れている。100円ショップなる存在は物溢れ時代を象徴している。一、二回使って、収納の奥に仕舞い込まれ忘れ去られている物。また台所収納を占領するものの中には、心情的に棄てにくい物というのがある。使ってないセット物の小鉢や皿、カップ、コップの類、漆器やお盆そして鍋などこれはほとんどいただき物。誰それさんの結婚式の引き出物だの内祝いだので棄てるに忍びないということのようだ。こうした物以外に増え続けるものが本と洋服ではないだろうか。他にもいただきもののタオル類や寝具。もちろんかつての美徳を代表する、空箱やびん、包装紙、紙袋、紐やリボン、これもたまるとバカにならない。