今日ほど、住まいの本質が見失われている時代はないと思う。住宅メーカーは、気密、高断熱、外断熱といったことが良い住宅の条件のように言う。一部の建築専門家や大学教授がそれに賛同し、国までもが法基準を作っている。これらのことが、はたして本当に良い建築の本質を述べているのだろうか。その前に、もっと重要なことを見落としてはいないだろうか。今の建築材のほとんどは、石油から作られた接着剤を使った製品である。柱、土台、梁は、木片を接着剤で張り合わせた集成材。壁には、薄い板一面に接着剤を塗って、何重にも張り合わせた合板が使われている。さらに、木を小さな木片にしたり、粉末状に砕いて接着剤で固めたパーティクルボードが、キッチンの箱や戸扉だけでなく、ドア伜、窓枠、幅木などの造作材に使われている。何千万円もする家が安物の家具と同じレベルにまで落ちているのだ。確かに、冬にすき間風が入る家を好む人はいない。