アーカイブ

次善の選択で国立病院に転出したN

外科の講師だったNも、一年前に大学病院から国立病院に転出した。彼の場合もやはり、教授選挙にともなう人事である。ただHと違うのは、自分自身でそれなりの準備を整えていた。次善の選択をしたという色合いが濃いことだ。外科でも二年前、教授の定年退職にともない教授選が行なわれた。この選挙は、内科のように無風ではなく、同じ医局の二人の助教授によってその後継が争われた。実力(というか勢力)相拮抗し、けっこうえげつない抗争が繰り広げられたらしい。そして結果的に、Nの応援した助教授が負けてしまった。それで負け組は医局を出るしかなくなったわけである。Nは、そういった事態も想定し、ひそかに根回しして、就職先を準備していた。新しい教授から、懲罰的に「とばされる」前に、それなりのレベルの医療機関に自ら希望して就職していったのである。だからNの場合、教授への道はかなり遠ざかってしまったわけだが、ひどく落ち込んでいる様子はなかった。