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当初は株の運用も失敗続き

卒業後、社会人になって実際の経済の渦中に身を置き、経済の勉強のために始めた株式投資で(莫大な利益が得られるのではないかという淡い期待も描いていましたが……)、私の経済学と経済に対する認識が一変しました。そのときまで経済学をバカにしていたところがあったのですが、財務諸表などの企業会計やGNP、為替などのマクロ経済に対する知識の必要性を痛感したのです。つまり、知識の欠如がそれを元に考える知恵の欠如につながることを痛感したのです。株式投資においては、企業業績、マクロ経済学の動きを把握していないと成功しないと感じました。それからは、公認会計士向けの本を購入し、マクロ経済、簿記(2級程度)、財務諸表の勉強を一生懸命にしました。その結果、株の運用成績がそれなりに向上したのを非常に喜んだのを覚えています。生まれて初めて、学問、勉強が実際に役立つということを実感した瞬間です。しかし、成果は「それなり」でした。マクロ経済学をある程度理解し、経常利益、自己資本比率などの指標はもとより、企業の新商品についてのリサーチをしたうえで株を購入したにもかかわらず、株価が思ったように上がらないのです。そして、私より経済学の知識や企業情報を豊富にもっているはずの経済評論家、アナリストの予想が全然当たらないことにも気づきました。たしかに、起こった事象に対しては後でうまく説明してくれるのですが、それは「後付けの説明」で、未来の予想に関してはほとんど的中しないのです。「日経平均株価は3万円まで戻す」といった途端、日経平均株価2万円割れとなったり、「株価が下がる」といった途端に株価が高騰するようなことを頻繁に経験したのです。経済学に造詣が深いはずの人の予想がなぜはずれるのだろうという疑問が強く沸き起こりました。そして、いろいろな本を読んでいるうちに、テレビに出て、コメントをしているような人たちはいわゆる「ファンダメンタリスト」が多く、ファンダメンタルの指標しか見ていないために予想が当たらないことがわかりました。「ファンダメンタル」とは「経済の基礎的条件」と直訳できますが、雇用情勢、企業業績、GNP、マネーサプライ、為替など経済を構成する基本的指標のことです。たとえば、「アメリカの経常赤字が増加しているから、今後はドル安に動くだろう」といった予想がファンダメンタルの指標を重視する「ファンダメンタリスト」の考え方です。たしかに長期的に見れば、傾向として正しいことも多いのですが、先ほど述べたように、経済は多数の要素で構成され、多因的要因で動くため「予想」は非常にむずかしいのです。また、人は合理的に動くとは限らないため、ファンダメンタルだけでなく、人の動揺、楽観、市場のムードなど心理を反映した指標、すなわちチャートをはじめとした統計的分析(テクニカル分析)の指標を活用することが大切だと悟ったのです。